荒れた庭、空っぽの部屋からの要請

黒坂 祐

2018/7/29 – 8/19

主宰の黒坂祐による四谷未確認スタジオのこけら落とし展示。まだリノベーション途中の状態のスペースと響き合わせるようにつくられた。会期中には「絵のお話」「移動のお話」「経済のお話」と題されたトークイベントが催された。幾何学的な図形を描いた「状況の絵画」シリーズを中心に構成された展示会場は自然光のみで鑑賞された。

私にとって絵画は部屋の中身のようなものです。
絵を描く以前の行為はずっとその部屋の外側を作っている気分でした。
例えば塀や外壁、屋根などをつくっているような。
外側ができあがりはじめてからは少しずつ中身のことを考えられるようになりました。
いまはまだ空っぽの部屋を眺めながらいくつかの重要な要素が浮かんでくるのを筆を持ちながら待っています。
ここで重要なのは、空っぽの部屋、または何も描かれていない支持体が私に何を要請しているかということです。
つまり絵をつくっていく主体は私ではないのです。
偶然にフォルムとフォルムを出会わせること、それらをフレーミングしたときにできあがる構図、私が主体となって行う作業はここまでです。
あとはそれらの関係性に要請されて色や質を選択していくだけで、絵を絵として完成させるのは私ではありません。
それがどのような絵になるかもわかりません。
これはジル・クレマンの提唱した「動いている庭」の考え方と似ています。
庭に偶然生えた雑草とされるものを守るという選択だけを人がする。
邪魔だといって植物を刈るのではなく、人がそこをどいて新しい道を整備する。
主体を植物におき、それになるべく合わせて逆らわず選択をする立場に人をおくという考え方です。
ここからここまでを庭とすること、それは絵画におけるフレーミング。
まずはざっくりとフォルムを与えて基本の構図をつくる。
ここまでは人にしかできない作業であると私は考えます。
ここからは庭や支持体に主体が移ります。
単なる偶然性ではない必然性による絵画、それを達成するにはやはり、荒れた庭、空っぽの部屋、何も描かれていない支持体からの要請に耳を傾けることです。
2018/0628 黒坂 祐

会場:四谷未確認スタジオ
入場料:ギャラリースペースのみ利用 500円
サロンスペース合わせての利用 1000円(1ドリンク付き)

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